皆さん、準備組合の資料に書かれている「再開発事業のデメリット」の内容を覚えていますか?
準備組合が言うデメリットとは、「①合意形成に時間を要する」と、「②区分所有建物の区画を取得」、の2つだけです。このうち、①については、当会も、準備組合から、ここ1年で脱退者が相次ぎ、組合員が減ったと言われています。②については、マンション居住者にとっては、再開発の前後で同じ「区分所有」ですので、デメリットと思わないかもしれません。
しかし、準備組合が決して書かない「デメリット」が、いろいろあります。その一つに、「遠くに引っ越して、また戻ってくることの大変さ」があります。今回は、これを取り上げてみます。
例えば、自分の一戸建ての家が老朽化したから、その家を建て替えるという場合を考えてみます。この場合、引っ越しするのは自分の家族だけですから、近所のマンションの賃貸用の部屋(空室)を借りるなどして、子供の転校などを避けることができます。
ところが、当地区の再開発は、約2ヘクタールの広さの大規模なものです。当地区の住民(マンションも含まれていますので、かなりの世帯数です。)が、近所に仮住まい場所を見つけようとしても、仮住まい場所を探す世帯の数が多過ぎて、近所でのマンションの空室数などが圧倒的に足りないと思われます。
特に、当地区の近所の築浅のマンションは、ほとんどがワンルームマンションですので、例えば3~4名の家族向きの賃貸用の空室の数は、非常に少ないと思われます。
その結果、どうなるのでしょうか。準備組合が紹介してくれるとしても、仮住まい先は、新宿区外など遠方になる可能性が高いです。特に、高齢者の一人住まいの場合、大家さんが難色を示しがちであり、神奈川県など、かなり遠方になる可能性もあります。
たとえ、中野区などの近場に仮住まい先を確保できたとしても、子供の転校や、かかりつけ医の変更や、デイ・サービス場所の変更などの他、いろいろと面倒なことが多いです。
引っ越しに伴う手続として、新宿区役所への転出届、仮住まい先の役所への転入届、電気会社・ガス会社・水道会社・金融機関・NHK・インターネット関連業者・クレジットカード会社などへの住所変更手続、運転免許証の住所変更手続など、細かいことが一度に襲ってきます。
各種の手続に加えて、仮住まい場所におけるカーテン、家電製品などの購入も必要になるかもしれません。
引っ越し自体も、大変です。引っ越し先にどれだけの荷物が入るかを考え、これまで手をつけてこなかった不要な物の処分をしなければならず、これがすごくシンドイです。また、引越業者と交渉して契約し、引っ越しの前にダンボール箱に物を詰め、引っ越しの後にダンボール箱から物を取り出して、所定の場所に置くなどの作業があります。これらの作業は、特に高齢者にとって、業者に指示するだけでも、かなり面倒ですし、お金もかかります。
再開発の新たな建物に入居するときにも、仮住まい先への引っ越しのときと同様の手続や作業を要します。
「引っ越しを2回するのがそんなに大変なら、この地区に戻らずに、お金だけもらって、どこかに引っ越して、そこに住めばいいのではないか」と思われるかもしれません。
しかし、引っ越しせずに、自宅を再開発区域から外してもらって、今のまま住み続ける途(みち)もあります。民間事業ですので、再開発区域は、我々地権者が自由に変えることができます。
また、この地区から出ていく代わりにお金をもらえると言っても、不動産屋に自宅を売却する場合と違って、あなた(地権者)には、売却額を自由に決める権限はなく、法定の金額しかもらえません。
再開発計画への「同意」を求められたら、準備組合が言わないデメリット(欠点)もよく考えたうえで、判断することが大事です。
[瓦版一口メモ] 当会が相談した再開発問題に強い弁護士から、「再開発準備組合は、誰も責任を取らない団体です。」と言われました。
