瓦版その26に記載した金額の算出方法は、以下のとおりです。なお、算出の際、以下の資料を参考にしました。
[資料1]
「図解でわかる 土地・建物の税金と評価」(著者:冨田 建;発行所:株式会社日本実業出版社;2023年4月1日 初版発行)
[資料2]
国税庁ホームページの「タックスアンサー(よくある税の質問)」の中から
「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
[資料3]
東京都主税局のホームページの中の「都税Q&A」の「不動産取得税Q&A」のQ1、Q5、Q6
[資料4]
インターネットで入手可能なPDFファイル「市街地再開発事業の税制優遇措置について(概要パンフレット)」(国土交通省 都市局 市街地整備課)
(A)[土地建物を売る場合、持ち出さなければならない金額]の算出方法
(a)「土地を売ると、譲渡所得税等710万円(住民税を含む)がかかります。」
土地の譲渡価額:1億2600万円(現在)
土地の取得費:4200万円(30年前)
譲渡費用:400万円
ここでの「譲渡費用」は、[資料2]の「No.3208」に、「土地・建物の譲渡価額が1億4500万円」である場合の「譲渡費用(仲介手数料など)」が「500万円」とされていることから、それよりも若干、安く見積もって、「400万円」としました。
長期譲渡所得金額は、以下のように計算できます。
1億2600万円-(4200万円+400万円)=8000万円
この「8000万円」には、「マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合」の特別控除として、3000万円の控除が認められます([資料2]の「No.1440」)。
よって、課税される譲渡所得金額は、8000万円から3000万円を差し引いて、5000万円となります。
この5000万円に対して、14.21%の税金がかかります。「14.21%」の内訳は、所得税が10%、住民税が4%、復興特別所得税が0.21%です。なお、「14.21%」は、課税所得が6000万円以下の場合です。(以上、[資料1]の第151~152頁の「譲渡所得にかかる税率」、及び、第164~165頁の「マイホーム軽減税率のしくみ」を参照)
したがって、「譲渡所得税等」は、5000万円に14.21%を乗じて、約710万円と計算できます。
(b)「5000万円(建築費)+消費税10% 500万円」
建物は、減価償却の対象(価値の減少がある資産)として、購入時に消費税がかかります。よって、建物の建築費(購入金額)が5000万円であれば、5000万円に加えて、500万円の消費税を支払う必要があります。なお、土地は、減価償却の対象(価値の減少がある資産)ではありませんので、購入時に消費税がかかりません。
(c)「259万円」(不動産取得税)
まず、土地に関する不動産取得税を計算します。
土地の不動産取得税を計算するには、土地の固定資産評価額を定める必要があります。土地の固定資産評価額は、一般に、公示地価の約70%(ここでは「70%」として計算)の額とされています。また、実勢価格は、一般に、公示地価の約1.1~1.2倍(ここでは「1.2倍」として計算)の額とされています。
よって、[土地の固定資産評価額]=[実勢価格]÷1.2×0.7、となります。
実勢価格(購入金額)が1億2600万円ですので、土地の固定資産評価額は、7350万円と計算できます。
土地の不動産取得税は、3%([資料3]のQ1、Q5、Q6を参照)ですので、土地の固定資産評価額(7350万円)に3%を乗じて、約220万円と計算できます。
次に、建物に関する不動産取得税を計算します。
建物の不動産取得税を計算するには、建物の固定資産評価額を定める必要があります。新築の建物の固定資産評価額は、一般に、通常の市場価格のおおむね半額程度(ここでは「半額」として計算)とされています([資料1]の第66頁を参照)。
よって、建築費が5000万円である建物の固定資産評価額(後述の控除の前の金額)は、5000万円に0.5を乗じて、2500万円と計算できます。
この2500万円から、新築住宅の税軽減措置としての控除額1200万円([資料1]の第64頁を参照)を差し引くと、1300万円となります。
この1300万円が、課税される金額です。
住宅用途の建物の税率は3%ですので、建築費が5000万円である建物の不動産取得税は、1300万円に3%を乗じて、39万円と計算できます。
したがって、土地と建物を合わせた不動産取得税は、220万円(土地)と39万円(建物)を合計して、259万円と計算できます。
(d)「147万円」(登録免許税)
登録免許税の計算については、土地のみを対象とし、建物は対象外としました。建物(新築の住宅用家屋)の登録免許税は、固定資産評価額(この例では1300万円)に対して0.15%であり、非常に少額(この例では2万円未満)であるからです([資料1]の第58頁を参照)。
土地の登録免許税は、固定資産評価額に対して2%です([資料1]の第58頁を参照)。
よって、登録免許税は、7350万円に2%を乗じて、147万円と計算できます。
(B)[補償金をもらう場合、持ち出さなければならない金額]の算出方法
(a)「土地の補償金が仮に1億2600万円とすると、譲渡所得税0円(再開発の特例)」
[資料4]の第5頁に、「やむを得ない事情等により転出する場合」として、所得税及び住民税について、「代替資産取得の特例」が認められています。この特例は、「取得した補償金をもって代替資産を取得した場合、譲渡がなかったものとする」というものです。
この例では、土地の補償金(1億2600万円)をもって、代替資産である同額(1億2600万円)の土地を購入していますので、「譲渡がなかった」という扱いになり、譲渡所得税がゼロ(なし)になります。
ただし、この「譲渡がなかったものとする」との扱いは、「やむを得ない事情等により転出する場合」を前提としています。「やむを得ない事情等」に該当するか否かは、各自で確認する必要があります。
(b)「4200万円(建築費)+消費税10% 500万円」
ここでの「4200万円(建築費)」は、実際の建築費である5000万円から、補償金の800万円(推定)を差し引いたものです。
建物の補償金は、その建物と同じ建物を今、もう一度新たに造り直した場合に、いくらかかるかという金額である「再調達価額」に対して、その建物の築年数に応じた減額を行なうことによって求めます。
この例では、30年前に2500万円で建てた建物と同じ建物を、5000万円で建てますので、再調達価額は、5000万円となります。また、築30年ですので、5000万円のうち、84%が減額されるとすると、建物の補償金は、5000万円に16%を乗じて、800万円と計算できます。なお、築年数に応じた減額の割合の詳細な説明は、省略させていただきます。
よって、負担すべき建築費は、実際の建築費である5000万円から、従前の建物についての補償金である800万円を差し引いた4200万円となります。
一方、消費税は、実際の建築費である5000万円に対して10%かかりますので、500万円となります。
(c)「27万円」(不動産取得税)
[資料4]の第5頁に、「やむを得ない事情等により転出する場合」として、不動産取得税について、「代替資産について従前資産額相当分控除」が認められています。
この例では、土地については、従前資産の補償金(1億2600万円)をもって、代替資産(1億2600万円)を購入していますので、購入額から補償金を差し引いた金額(ゼロ)が不動産取得税の対象になり、不動産取得税は、ゼロ(なし)になると考えられます。
一方、建物については、補償金では足りずに追加で負担した「4200万円(建築費)」が、不動産取得税の対象になると考えられます。
上述のとおり、新築の建物の固定資産評価額は、一般に、通常の市場価格のおおむね半額程度(ここでは「半額」として計算)とされていますので、建築費が4200万円である建物の固定資産評価額(後述の控除の前の金額)は、4200万円に0.5を乗じて、2100万円と計算できます。
この2100万円から、新築住宅の税軽減措置としての控除額1200万円を差し引くと、900万円となります。
この900万円が、課税される金額です。
住宅用途の建物の税率は3%ですので、建築費が4200万円である建物の不動産取得税は、900万円に3%を乗じて、27万円と計算できます。
したがって、土地と建物を合わせた不動産取得税は、0万円(土地)と27万円(建物)を合計して、27万円と計算できます。
(d)「147万円」(登録免許税)
[資料4]の第5頁を見ますと、「やむを得ない事情等により転出する場合」であっても、登録免許税について、優遇措置は記載されていません。
登録免許税の計算については、土地のみを対象とし、建物は対象外としました。建物(新築の住宅用家屋)の登録免許税は、固定資産評価額(この例では900万円)に対して0.15%であり、非常に少額(この例では2万円未満)であるからです。
土地の登録免許税は、固定資産評価額に対して2%です。
この例において、土地の固定資産評価額は、前記「(A)[土地建物を売る場合、持ち出さなければならない金額]の算出方法」の「(c)「259万円」(不動産取得税)」で説明したとおり、7350万円です。
よって、登録免許税は、7350万円に2%を乗じて、147万円と計算できます。
